ホストの給料・年収|払った額のうち担当に残るのはいくらか
ホストの給料は最低保証+歩合の二段構造で、歩合は売れるほど率が上がります。だから熱心な営業は性格ではなく報酬設計です。歌舞伎町14店が公開しているお会計例33件を数えると1回の中央値は36,000円。そこから税・サービス料・店の取り分・源泉徴収・国保・自腹を順に引くと、担当本人の手元に残るのは数千円台になります。つまり「もう1本」を断っても、担当の手元で変わるのは千円台です。バック率は公表値がないため幅でしか書いていません。


「担当って、実際いくら稼いでるんだろう」——ホストクラブに通っていると、一度は浮かぶ疑問だと思います。そしてその疑問の裏には、たいてい別の問いが隠れています。「私が使ったお金は、あの人にどれくらい届いているんだろう」です。
この記事は、そこに答えます。
先に結論です。ホストの給料は最低保証(日給)+歩合(バック)の二段構造で、歩合は売れるほど率が上がる設計になっています。そしてあなたが払った金額のうち、担当本人の手元に最終的に残るのはごく一部です。歌舞伎町の店が自分で公開している「お会計例」を数えると1回の中央値は36,000円ですが、そこから税・サービス料・店の取り分・税金・経費を順に引くと、本人に残るのは数千円台になります。
もうひとつ、通ううえでいちばん効く結論を先に書いておきます。「もう1本入れない?」を断っても、担当の手元で変わる額は千円台です。
この記事の要点
- 給料は最低保証+歩合。歩合は売れるほど率が上がる逓増型
- だから熱心な営業は性格ではなく報酬設計。理由が分かると、同じ言葉に振り回されなくなります
- 歌舞伎町14店が公開するお会計例33件の中央値は36,000円(税サ込み)
- そこから順に引くと、本人の手元に残るのは数千円台
- 1本見送っても、担当の手元で変わるのは千円台
- 「平均年収◯◯万円」は上下差が極端に大きく、実態を表しにくい指標
なお本記事では、ホスト個人の売上金額や順位、特定の人の年収は一切扱いません。理由は後半で説明します。
ホストの給料は「最低保証+歩合」でできている
ホストの給料は、出勤すれば得られる最低保証(日給)と、自分の席で使われた金額に応じて増える歩合(バック)の二段構造です。だから「いかに自分の席でお金を使ってもらうか」が収入に直結します。
収入の段階は、はっきり分かれます。
| 段階 | 収入の柱 | 実態 |
|---|---|---|
| 新人・駆け出し | 最低保証(日給) | 指名客がつくまではここが中心。昼職と掛け持ちする人も珍しくない |
| 指名客がつき始めた層 | 最低保証+売上バック | 月収が一段上がる。ただし衣装・美容・営業自腹も同時に増える |
| 売れている層 | 歩合が中心 | 逓増型が効いて上は青天井に見える。ただし経費・税・自腹を引いた手取りは売上よりずっと少ない |
つまり「ホストの年収」は、最低保証だけの層から上まで振れ幅が極端に大きく、ひとつの数字では表せません。
歩合は「売れるほど率が上がる」
多くの店で、歩合は売上が大きいほどバック率が上がる逓増型に設計されています。具体的な料率は店ごとに違い、公表している主体はありません。ただ構造として「同じ努力でも、売上規模が大きいほど一段と取り分が増える」よう作られている、という点が大事です。
これが、ホストが金額そのものより『規模』や『本数』を作りにくる理由です。高いボトルを勧めるのも、単価より売上規模を積み上げる動機が大きい。性格が強引なのではなく、報酬設計がそう促している——そう理解すると、勧誘を「人格」ではなく「構造」として一歩引いて見られます。
あなたが払う1回分は、どこへ行くのか
ここがこの記事の中心です。抽象的な例で計算しても実感が湧かないので、歌舞伎町の店が自分で公開している「お会計例」を数えました。
まず、1回の会計はいくらか
ホスランクに掲載している歌舞伎町77店のうち、14店が「お会計例」を自分で公開しています。そこに書かれた金額33件を数えると、こうなりました(2026年9月28日時点)。
| 1回の会計(税・サービス料込み) | 件数 |
|---|---|
| 2万円未満 | 3件 |
| 2万〜3万円 | 5件 |
| 3万〜5万円 | 23件 |
| 5万円以上 | 2件 |
中央値は36,000円。範囲は18,000〜141,000円で、5万円を超えたのは2件だけでした。
いちばん下の18,000〜21,000円は「セットのみ・オーダーなし」の額で、4店が書いています。つまり席に着いて何も頼まなくても、このくらいはかかるということです。
36,000円から、順に引いていく
ここから先は、数えられる数字と、数えられない数字が混ざります。混ぜて書くと嘘になるので、分けます。
① あなたの支払い:36,000円(数えた数字)
お会計例33件の中央値です。会計例のうち8件は「T.C、サービス料、消費税込み」と明記されていました。この額はすでに税サ込みです。
② 歩合の対象になる小計:約24,200円(概算)
歌舞伎町では実支払いが表示価格のおおむね1.5倍になります。そのぶんを戻した概算です。サービス料と消費税の内訳はホストクラブの料金完全ガイドと料金の税・サービス料にまとめています。
③ 担当のバック:約1.0〜1.5万円(公表値なし・幅)
バック率を公表している主体はありません。求人媒体の記載を幅で取ると40〜60%程度ですが、店・契約・ランクで大きく動きます。ここは断定できないので幅で書きます。
④ 本人の手元に最終的に残る額:数千円台(桁のみ)
ホストの多くは個人事業主扱いで、報酬から源泉徴収10%が引かれ、確定申告での所得税・住民税、会社の社会保険に入れないぶんの国民健康保険がかかります。さらに衣装・ヘアメイク・同伴やアフターの飲食・客へのプレゼントといった営業の自腹が乗ります。経費の重さは人によって違うので、ここまで来ると桁しか言えません。
まとめると、あなたが払った36,000円のうち、担当本人の手元に最終的に残るのは1〜2割程度。これが「使った額の2割」と言われるときの中身です。正確な比率ではなく、桁感として受け取ってください。
「もう1本」を断っても、変わるのは千円台
ここから、通ううえでいちばん実用的な結論が出ます。
同じ店の会計例を並べると、こうなっています。
| 頼んだもの | 会計 |
|---|---|
| 指名+缶物4本 | 27,000円 |
| 指名+鏡月フルボトル1本+ソフトドリンク2杯 | 36,000円 |
差は9,000円。これを上の順番で追うと、税サを外して約6,100円、バック5割で約3,000円、そこから源泉・税・経費を引いて——担当の手元で変わるのは千円台です。
あなたが9,000円多く払っても、本人の手取りは千円台しか動きません。「担当の売上を助けたい」と予算を超えるより、予算内で機嫌よく通い続けるほうが、長期的には担当にとっても価値が高い。煽りに乗らないための、いちばん効く知識がこれです。
会計例を公開している店は、頼み方で会計がどう動くかを先に見られます。
経費を引くと、手取りはさらに減る
売上バックがそのまま手取りになるわけではありません。多くのホストは次のような負担を抱えています。
| 経費 | 内容 |
|---|---|
| ヘアメイク・美容 | セット代、美容院、肌の手入れ。毎日のことなので積み上がる |
| 衣装 | スーツ・小物。見た目が商売道具のため軽視できない |
| 営業の自腹 | アフターや同伴の飲食、客へのプレゼント |
| 税・保険 | 源泉徴収10%、確定申告での所得税・住民税、国民健康保険 |
見た目の売上が大きい人でも、これらを引いた後の手残りは想像よりずっと少ない、というのが実態です。「華やかさ」と「手元に残る額」は別物だと知っておくと、相手の見え方に過剰に影響されずに済みます。
収入構造から、ホストの行動を読み解く
給料の仕組みが分かると、よくある行動の理由が読めます。理由が分かれば、責めるのでも流されるのでもなく、対等に付き合えます。
- シャンパンや高いボトルを勧める:単価より「売上規模」を作る動機。歩合が逓増型だから、規模が大きいほど取り分の効率が上がる。あなたへの好意の証明ではなく、構造上の合理的行動
- 同伴・アフターに誘う:来店や指名の継続につながる一方、飲食は自腹になりがち。誘い=必ずしも特別扱いではなく、関係維持のための投資という側面がある
- 月末や締め前に連絡が増える:締めのタイミングが収入に効くため。あなたの気持ちの問題ではなく、カレンダー上の理由であることが多い
- 新人ほど距離を詰めるのが速い:最低保証中心で歩合が薄く、早く指名客を作る必要があるから。焦りの背景は人柄ではなく収入構造
どれも「だから冷めろ」という話ではありません。理由を構造で理解しておくと、同じ言葉や誘いを受けても感情の振れ幅が小さくなり、自分の予算と気持ちで判断できる——それが目的です。担当の不調が気になっている方は担当ホストが病んでる時の支え方もあわせてどうぞ。
個人の売上額・順位を載せない理由
ここで、この記事が「ナンバー1は年収◯億」のような表を作らない理由を書いておきます。法令と、業界の自主規制と、ホスランクの方針は別のものなので、分けて説明します。
| 層 | 中身 |
|---|---|
| 法令 | 風営法16条は「営業所周辺における清浄な風俗環境を害するおそれのある方法」での広告・宣伝を禁じています。2025年6月4日付の警察庁通達が、ホストクラブで何が該当するかを列挙しました。「〇年連続年間売上〇億円OVER!」「〇万円player」といった営業成績の表示、「覇者」「神」「レジェンド」のような成績上位を推認させる称号などです。対象は店頭の看板と店外の広告で、違反は行政処分(営業停止・許可取消) |
| 業界の自主規制 | JHCA(日本ホストクラブ健全化推進協議会)が2025年10月5日に策定。個人ランキングの公開禁止・売上金額を誇示する広告の禁止まで広げました。2025年12月23日の見直しで、順位の表示は再開され、金額は引き続き禁止です |
| ホスランクの方針 | 自主規制より狭く取り、すべての記事で個人の売上金額・順位を掲載しません。金額で人を並べる情報が、この記事の目的(煽りに乗らないこと)と正面から矛盾するからです |
背景はJHCAとは、改正の全体像は2025年改正風営法の解説で扱っています。ナンバーワンという言葉の意味そのものはナンバーワンホストとはにありますが、そちらでも金額・順位は出していません。
「平均年収」という数字の罠
ネットでは「ホストの平均年収は◯◯万円」という数字をよく見ます。鵜呑みにしないでください。これは推測ではなく、平均と中央値の性質の話です。
- 売上はごく一部の上位層に強く偏る。少数の高収入者が「平均」を大きく引き上げるため、平均値は「ふつうのホストの実感」とずれる
- 実態に近いのは平均ではなく中央値(真ん中の人)。中央値は平均よりかなり低くなる
- さらに在籍者には短期離職者も多く、母集団の取り方で数字は大きく動く
つまり「平均年収◯◯万」は、当たり外れ以前にそもそも実態を表しにくい指標です。大事なのは正確な数字を当てることではなく、上下差が極端に大きい世界だと理解したうえで、相手の経済状況を勝手に推測して情を動かされないことです。
売掛について——法律と自主規制を混ぜない
収入の話でよく出てくるのが売掛(ツケ)です。ここは誤解が多いので、はっきり分けます。
- 歌舞伎町では、売掛は2024年4月に全廃されています。2023年12月に13グループ・220店が方針を表明し、段階的に縮小して全廃に至りました。ただしこれは業界の自主規制であって、条例でも法律でもなく、罰則もありません
- 改正風営法は、売掛という支払い方法そのものを禁止していません。条文に「掛け払い」「売掛」という語はありません。禁じたのは行為です(料金の虚偽説明、恋愛感情に乗じて困惑させて飲食させること、注文前に出して困惑させることなど)
- すでに成立した売掛金を無効にする規定もありません。「禁止されたから払わなくていい」は誤りです
客側にとっての結論は変わりません。売掛は理由を問わず断って構いません。仕組みは売掛金とは何かに、条文の中身は2025年改正風営法の解説にまとめています。
客側が自衛するための3点
1. 「担当の売上を助けたい」は危険信号
担当の成績は担当の仕事の範囲です。客がリスク(予算超過・売掛)を負って助けるものではありません。上で見たとおり、あなたが9,000円多く払っても本人の手取りは千円台しか動きません。助けたい気持ちが芽生えたら、いったん立ち止まる合図と考えてください。
2. 予算を決めて行く
月の予算を先に決め、超えたら帰る。これが最も確実な自衛策です。1回の会計の中央値が36,000円だと分かっていれば、月に何回行けるかは先に計算できます。組み立て方は予算管理にあります。
3. 売掛は理由を問わず断る
どれだけ親しくなっても、ツケ払いには応じない。歌舞伎町では自主規制で全廃されているので、勧められること自体が例外的です。
収入構造から見える「健全に楽しめる担当」
ここまでの構造を踏まえると、信頼できる担当の条件が具体的に見えてきます。
- 最初に予算を聞く:「今日いくらくらいで考えてる?」と先に確認する人は、あなたの財布より関係の継続を見ている
- 予算超過を止めてくれる:歩合の構造を知っていてなお、無理な追加を勧めない
- 売掛を提案しない:「来月でいい」と言わない。これは信頼の最低ライン
- 来店頻度を強要しない:「今月あと何回」とノルマのように迫らない
これらは「優しいかどうか」ではなく、長期で関係を作るタイプか、目先の売上を取りに来るタイプかの見極めです。
よくある質問
ホストの平均年収はいくらですか
一般に「数百万円」と語られますが、上下差が極端に大きく、平均値は実態を表しにくい指標です。実態に近いのは中央値で、平均よりかなり低くなります。ホスランクは個人の売上金額・順位を掲載しない方針なので、本記事では断定的な数字を示しません。
自分が使った金額の何割が担当に入りますか
1〜2割程度が桁感です。歌舞伎町14店のお会計例33件の中央値は36,000円で、そこから税・サービス料、店の取り分、源泉徴収10%、所得税・住民税、国民健康保険、衣装や同伴の自腹を引くと、本人の手元に残るのは数千円台になります。バック率を公表している主体はないので、正確な比率は出せません。
1杯・1本を断ると、担当に迷惑がかかりますか
手取りで千円台の差です。同じ店の会計例で、指名+缶物4本が27,000円、指名+フルボトル+ソフトドリンク2杯が36,000円。差の9,000円を税サ・バック・税と経費で追うと、本人の手元では千円台しか動きません。関係が壊れるような損失ではありません。
1回の来店は、いくらくらい見ておけばいいですか
歌舞伎町の会計例では中央値36,000円、3万〜5万円が33件中23件です。席に着いて何も頼まない場合でも18,000〜21,000円はかかります(4店が「セットのみ」の額として公開)。初回は別体系で、歌舞伎町の中央値は3,000円です。詳しくは料金完全ガイドへ。
ナンバーワンの年収はいくらですか
掲載していません。営業成績の表示は風営法16条と2025年6月4日付の警察庁通達で看板・店外広告の規制対象になっており、JHCAの自主規制も売上金額の誇示を禁じています。ホスランクはそれより狭く、すべての記事で個人の売上金額・順位を扱いません。
なぜ会計は表示価格より高くなるのですか
表示価格にテーブルチャージ・サービス料・消費税が乗るためです。歌舞伎町では実支払いがおおむね表示価格の1.5倍になります。率の分布や計算例は料金完全ガイドにまとめています。
ホストは副業をしている人が多いですか
最低保証だけでは生活が厳しい時期があるため、昼の仕事と掛け持ちする人も珍しくありません。特に駆け出しの時期に多い傾向があります。割合を示す公的統計はありません。
まとめ
- 給料は最低保証+歩合。歩合は売れるほど率が上がる逓増型だから、営業熱心さや本数の追求は性格ではなく報酬設計
- 歌舞伎町14店が公開するお会計例33件の中央値は36,000円(税サ込み)。3万〜5万円が23件
- そこから税サ・店の取り分・源泉徴収・税・国保・自腹を引くと、本人の手元に残るのは数千円台=1〜2割程度
- 「もう1本」を断っても、担当の手元で変わるのは千円台。予算内で長く通うほうが双方にとって価値が高い
- 個人の売上金額・順位は扱わない。法令(風営法16条+警察庁通達)・JHCA自主規制・ホスランクの方針は別ものなので分けて理解する
- 売掛は法律が禁止したのではなく、歌舞伎町の業界自主規制で2024年4月に全廃。成立済みの売掛金は有効な債権のまま
この記事で数えた数字は、ホスランクに掲載している歌舞伎町77店の料金表を2026年9月28日に集計したものです。条文はe-Gov法令検索で確認した風営法の記述です。バック率と経費は一次情報が存在しないため、幅と桁でしか書いていません。もっともらしい一覧表を作らないのは、そのためです。
いちばん伝えたいのはここです。ホストの収入構造を知る目的は「いくら稼いでいるか」を当てることではなく、煽りの数字や行動の意味に振り回されず、自分の予算で機嫌よく楽しむこと。金額の大きさで相手や自分を測るのをやめると、ホストクラブはずっと健全に楽しめます。

歌舞伎町で4年間ホストとして勤務した後、2024年に引退(31歳)。現役時代は中堅プレイヤーとして業界の光と影を経験。現在はナイトエンタメ業界のライターとして、元内部の視点から冷静に業界を分析している。
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この記事は ホスランクの編集方針 に基づき、業界経験者によって執筆されています。
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